覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

「何故なんでしょう。
 なんにも書けなくなって」
と言うと、心配してくれているような沈黙が流れた。

 衣茉は手元にあった手帳を手に言う。

「実は、このメモ帳に書こうとすると、手が震えてしまって。
 こんな程度のこと書いていいのかなって」

「……どんな呪いの手帳だ」

「八尋課長にいただいた手帳なんですけど。
 なんか書くのもったいなくて……」
と照れて言って、

「いや、他のに書けよっ」
と怒られる。

 衣茉は八尋にもらった手帳に呪われていた。

「でも、今、他に手帳ないし。
 それに、せっかくいただいたのに、まず、これを使わないと……」

「八尋さんに二度と手帳をくれるなと言っておけーっ」
と怒られた。