覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

「今度こそ、このゲーム、アンインストールするよ」

「課長、無理はよくないですよ。
 あ、八尋課長、無理はよくないですよ」
と自分も名前で呼ぶことに慣れず、衣茉は言いかえる。

「ゲームがそこにあっても、安易に手を伸ばさないようになって初めて、克服できたってことになるんですよ」

「……なんかお前、いいことっぽいこと言ってるように聞こえるぞ。
 単に『元ゲーム廃人からの教え』みたいなこと語ってるだけなのに」
と八尋も疲れからか、本音がダダ漏れる。

 結局、八尋はそのゲームを消した。

 そして、また衣茉にパスワードを変えさせる。

「今はゲームの画面より、お前の顔やお前からのメッセージを眺めていたいから」

 八尋はゲーム疲れから、うっかり、かなり臭いことを言っていた。

「私も、ゲームがすいすい進むより、八尋課長からのメッセージが入ってくる方が嬉しいです」

 衣茉もかなり臭いことを言っていたが。

 二人とも気づかず、にこりと微笑む。