「すまない。 つまらない小説とか言って。 本音がダダ漏れた。 俺はほんとうはお前のつまらん恋愛ものより、お前のつまらんサスペンス調の話の方が好きだ」 とさらにダダ漏れさせたあと、秋馬は去って行った。 「今日は付き合ってくれてありがとう、い…… 衣茉」 と月を背に言う八尋がこちらを見る。 「あの、祝の方が言いやすかったら、そちらで――」 という衣茉の言葉に被せるように、 「衣茉」 ともう一度、八尋は呼んでくる。