覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

 


「なんでもうちょっと突っ込んで話さないわけ? そこで」

 いや、話さなくていいんだけどさ、と翌日の昼、自動販売機の側で、八尋は吉行に駄目出しされていた。

「まあ、俺は祝を送っていけるだけで満足だ。

 ……待てよ。
 今日は会議で遅くなる日だな。

 あいつ、ひとりで帰ることになるのか、危ないな。

 いや、待てよ。
 てことは、俺が現れるまでの間、祝は危険な状態のまま、ひとりでバス停から家まで歩いていたのかっ」
と八尋は衝撃を受ける。

 よくぞ無事でいてくれた、祝っ、という勢いの八尋を見ながら、吉行が呆れたように言う。

「……恋は人を変にさせるよね。
 でもまあ、ちょっとうらやましいかな」
と。