覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

 


「そうだ。
 この間、学校の校舎裏、よさそうな感じに写真撮れたから、送ろうか」

 バスを降りたあと、八尋がそんなこと言ってくる。

「ありがとうございます」
と衣茉がスマホを取り出したとき、八尋が、

「あっ」
と言った。

 なにが、あ? と思ったが、八尋は、
「スタンプ送り間違えた」
と言って慌てて消していた。

 え? と思ったとき、こちらにハートマークを送ってくる感じのアルパカが一瞬見えて消えた。

 そういえば、送信取り消しからはじまったんだったな、なにもかも、と思いながら、ちょっと笑う。

「課長、持ってたんですね、かわいいスタンプ」

「うん、……いや、まあ」
と適当なことを言う八尋は、本当は衣茉に送るためだけに、衣茉が好みそうなスタンプをいろいろ買い揃えていた。

 可愛いスタンプを見るたび、
「わあ、可愛い」
という衣茉の笑顔が浮かんで、つい買ってしまっていたのだ。

 だが、もちろん、衣茉にはそんなことはわからない。