「僕、課長になりたいです」
昼過ぎ。
社食で同じ部署の先輩と向かい合って食べていた玖村はそう呟いた。
「どうした。
玖村、珍しく野心を見せて」
「いや、ずっと、八尋をうらやましいなとは思ってましたよ」
「そうか。
まあ、仕事に意欲があるのは、いいことだ。
俺は今、役職つくと残業代つかなくなるから、逆に奥さんに怒られそうなんで、遠慮したいけど」
娘のお稽古事で物入りなんで、と笑って言う先輩の前で、玖村は重く呟く。
「課長になって、それで、八尋とすり替わるんです……」
そして、微笑みたいです、と言って、
「なんですり替わるんだ、別の課の課長になれよっ。
ってか、微笑みたいってなにっ!?」
と気のいい先輩を悩ませた。



