「課長行きつけのお寿司屋さんで一人一個配ってた五十周年記念の湯呑みです。
開けてみたら、『ありがとうという感謝の心』といい言葉が書いてありました」
「……湯呑みに?」
湯呑みに、と衣茉は頷く。
「そんな湯呑み、常に反省を求められているようで嫌じゃない?」
「でも、なんだか、それを見てると、ときめくんです」
夜、衣茉はひとり、部屋でお茶を淹れ。
湯気の上がる湯呑みをいつまでも、ぼんやり眺めていた。
実際には、湯呑みにときめいていたわけではなく。
その湯呑みをもらって微笑みあった八尋の笑顔を思い出してときめいていたのだが。
今までそういう経験のなかった衣茉は、自分でもよくわかってはいなかった。
開けてみたら、『ありがとうという感謝の心』といい言葉が書いてありました」
「……湯呑みに?」
湯呑みに、と衣茉は頷く。
「そんな湯呑み、常に反省を求められているようで嫌じゃない?」
「でも、なんだか、それを見てると、ときめくんです」
夜、衣茉はひとり、部屋でお茶を淹れ。
湯気の上がる湯呑みをいつまでも、ぼんやり眺めていた。
実際には、湯呑みにときめいていたわけではなく。
その湯呑みをもらって微笑みあった八尋の笑顔を思い出してときめいていたのだが。
今までそういう経験のなかった衣茉は、自分でもよくわかってはいなかった。



