覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

 しかし、ひとつ疑問に思ったので訊いてみる。

「あの、ピュアな感じになっていませんか?」

「全然。
 なんかテンパってるぞ。

 どうした。
 内容もなんか、前出してきたホラー小説みたいだし」

 いやあれ、恋愛物のつもりだったんですけどね……。

「なんか悪いメモでもとったのか?
 寿司屋の時価でドキドキ以外に」

 衣茉はパソコンに落としたスマホのメモを見ながら言う。

「いや、このメモは活用していません。
 人に見てもらったら、評判いまいちだったんで」

 自分では寿司屋から出たとき、いい物が書けそうだと思ったのだが。

 そのドキドキのつまったメモを、
「どんなことメモしたの?」
と期待に胸膨らむ顔をした明子にちょっとだけ見せてみたのだが。

「……なによ、この『ありがとうという感謝の心』って。
 これでどうやって、ときめきのラブロマンスを書くのよ」
といきなりケチをつけられたのだ。