それから数日、衣茉は普通に日常を送っているつもりだった。
だが、かつてなく、すいすい原稿が進んだので、すぐに秋馬にデータを送ってみると、折り返し、電話がかかってきた。
「どうしたっ?
なんか最初の頃に戻ってるぞっ。
なんだ、このキリキリとした硬質な感じ!
これは沢木さんとこに出せ!」
うちはこういうの求めてないっ!
と怒られた。
「もっとピュアッピュアな感じで来い!
俺がお前に求めているのはそれだけだっ。
だが、お前がなにか変わっていってるのはわかる。
上手く化けるかもしれないっ。
もう俺を好きになってくれなくてもいいから、今の相手をよく見て、ピュアになれっ!」
――好きになってくれなくていいからってなんだろうな?
編集として、嫌われてもいいと言うことだろうかな?
その辺、よくわからなかったが、とりあえず、
「わかりました」
と言ってしまう。
衣茉の悪い癖だった。



