覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

「いやあの、私、売れてないだけで、すでにデビューしてますし。
 芸能人じゃないんで、特になにも生活は華やかにはならないですよ」

 むしろ、より閉じこもる感じになるかと思います、と衣茉は言った。

「そうなんですよね~。
 パソコン一台、メモ帳一冊あればできる仕事なんですけど。

 私は外で書くの苦手で。

 実家の庭でやってみたけど、虫と暑さに襲われただけでしたし。

 きっと更に閉じこもると思いますし。

 私はなにも変わりませんよ」
と言うと、八尋は、そうか……とちょっと嬉しそうな顔をした。

 ……なんなんですか、その顔は。

 課長にこんなこと言うのは失礼なのですが。

 なんか可愛いではないですかっ、と照れたような八尋の顔を見て衣茉はつい、視線をそらす。