覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

「これですよ」
と明子が布教用に持っているという文庫本を吉行に渡した。

 ふーん、とパラパラと吉行がめくってみている。

「お貸しします」
と言う明子に、

「ありがとう。
 最近、不眠気味だから、助かるよ」
と吉行は礼を言った。

 眠れない夜にでも読んでくれるのかな、と思ったが。

「最近、漢字多くて、字がぎっしりなもの読んでなかったから。
 この本、読んだら、すぐに眠れそうだ。

 ――あ、ごめん」
と吉行は文庫本を手に素敵な笑顔のままで言う。

「……吉行さんが眠くならないよう、沢木さんからの仕事が終わったら。
 今度は手に汗握るサスペンスを書くことにしますよ」
と衣茉は、

「俺の頼んだラブロマンス何処行った~っ」
と秋馬に叫ばれそうなことを呟いた。