「まあ、衣茉さんって、小説家なの?」 日当たりの良いリビングで、衣茉を嫁として吟味しているのは、もっぱら母親で、父はただ、側にいるだけだった。 「いや~、小説家って言えるほどでは。 一応、書いてるって感じです」 「まあ、読んでみたいわ」 「書店にあるといいんですが……」 ない可能性もあるのか。 お前はほんとうに小説家か……。 「探してみるわ」 「今度お持ちしますよ」 また来てくれるのか、俺の実家にっ。 「それか、課長にお渡ししときますね」 いや、受け取らない。