週末、衣茉はちょっとフォーマルな感じのワンピースを着て、実家について来てくれた。
「大きなおうちですね」
と庭を歩きながら、衣茉は家を見上げる。
母の趣味で、モデルハウスをそのまま建てた家だ。
「あれが使ってない部屋だ」
と八尋は庭にある一部屋しかない可愛い離れを指差す。
「母が趣味の油絵をやると言って建てたんだが、なんにもしないから、空いている。
貴族の邸宅の図書室ほどじゃないが、結構広いぞ」
俺と結婚したら、あれがお前の図書室にできるかもしれないぞ、と思いながら、そう売り込んだ。
おのれを売り込むよりは、本関係のなにかを売り込んだ方が衣茉には効果がありそうだったからだ。



