覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

「すまないが、週末、実家について来てくれないか?
 お前が来てくれないと、見合いするハメになる」

 衣茉は笑顔で、
「いいですよ」
と頷いた。

「課長にはいつもお世話になってますし。
 吊り橋にも付き合っていただきましたし。

 偽装の恋人とか定番ですしね」

 ……なんの定番だ?

「課長のお見合いが中止になるよう、頑張りますねっ」

「とか言いながら、スマホのメモを開くな~っ」

 隙あらば、小説のネタにしようとして、スマホやメモ帳を開こうとする衣茉の手を抑える。

 なめらかな衣茉の手の甲に触れて。
 慌てて、すぐに離してしまったのだが……。