「……実家からだ」
八尋が画面を見つめて言うと、
「えっ?
早く出た方がいいですよ」
と衣茉が言う。
確かに静かな森に音が響き渡っている。
森のそこここにひそんでいるクマや金太郎やオオカミを驚かせてしまいそうな音だ。
「もしもし?」
と出ると、
「まだ仕事?」
と母、千栄子の声がした。
「いや……」
よくわからないが、デートっぽいことをしている、と思いながらも。
目の前の衣茉が、まったくデートっぽくない、ざっくばらんな雰囲気で突っ立っているので、その言葉は出なかった。
口にした途端、即座に衣茉に否定されそうな気がしていたし。
八尋が画面を見つめて言うと、
「えっ?
早く出た方がいいですよ」
と衣茉が言う。
確かに静かな森に音が響き渡っている。
森のそこここにひそんでいるクマや金太郎やオオカミを驚かせてしまいそうな音だ。
「もしもし?」
と出ると、
「まだ仕事?」
と母、千栄子の声がした。
「いや……」
よくわからないが、デートっぽいことをしている、と思いながらも。
目の前の衣茉が、まったくデートっぽくない、ざっくばらんな雰囲気で突っ立っているので、その言葉は出なかった。
口にした途端、即座に衣茉に否定されそうな気がしていたし。



