覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

 


 人様のマンションの前で飲むのもあれなので、衣茉のマンションの前まで移動する。

 いや、此処で飲んでも大差ないが、と思ったとき、視界にすぐ側にある森が入った。

 森にもいろいろあるが。

 それは街中にあるせいか。

 反対側がライトアップしてあるせいか。

 この間の山で見たみたいなような鬱蒼とした森ではなく。

 明るい雰囲気の森だった。

「……入ってみたいな」
となんとなく呟く。

 頭の中では、その明るい森の中には、おばあさんにパンやワインを届けに行く赤ずきんちゃんがいた。

 子どもをひとりでお使いにやれるくらいの、ほのぼのした森のイメージだったが。

 よく考えたら、オオカミもいるんだよな。

 親、よくひとりで送り出したよな。

 国民性の違いだろうか、と思ったとき、衣茉が言った。