覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

 衣茉がメッセージの通知を見た話をすると、

「……そうか。
 祝、あれ、読んじゃってたのか」
と玖村は溜息をつく。

「すぐに消したんだけどな。
 既読にもならなかったし、大丈夫かと思ってた。

 でも、メッセージ開けずに読むとか、俺と同じだな」

 そんなところだけ、おそろいでもな、と少し寂しげに言う玖村に、うっかり思い入れしてしまったが。

 何故だか、では、俺が身を引きましょうか、とは言えなかった。

 吊り橋で揺れていた衣茉や、バスでいつも揺れている衣茉や、昨日、酒を呑んでご機嫌で揺れていた衣茉の姿が次々に頭に浮かんで――。