覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

 自分の身に起きたことを、物語としてメモしてみると、今の状況を客観的に見ることができ、いろいろと不安になってくる。

「そんなラッキーなことがあるか。
 リアリティがない」
と秋馬にぶった斬られそうなプロットが出来上がりそうだ。

 ――この世界はほんとうに現実ですか?

 バナナはおやつに入るんですか?

 幻想的な風景も相まって、足元もおぼつかない夢の中にいるような心地になってくる。

 目の前の八尋が自分を見つめ、真剣になにかを言っていた。

「無視か。
 無視か。

 無視かというセリフすら、無視か」

 その内容が頭に入らないまま、

「課長」
と衣茉は呼びかける。