覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

 


 キャンドルの灯りに照らし出された衣茉と向かい合い、食事をしながら、八尋は言った。

「既読は1ではなかったようだぞ」

「は?
 なにがです?」
と衣茉に問われる。

 だが、なんとなく説明する気にならなかった。

 玖村さんもあのメッセージを読んでいたのか。

 俺は、たまたま俺ひとりがあれを読んだのなら、それもまた運命か、と思ったんだが。

 お前の運命の相手は俺だけではなかったようだ……。

 そう思うと、なんだか寂しい気持ちがした。

 そんな自分の前で、頼んだ白ワインがかなり口に合ったらしい衣茉が、
「私は……酒を呑むために生まれてきたんではないかと思うんですよ」
としみじみと語りはじめる。

 いや、そんな奴いるか……。