「どうしたんですか? 課長」 帰りのバスで、少し疲れている風な八尋に、衣茉は訊いてみた。 仕事中は訊けなかったからだ。 「いや……ちょっと驚いたことがあって」 並んで立つ八尋は、そこで沈黙する。 「そうなんですか。 実は私も驚いたことがありまして」 二人ともちょうど誰かに、今日あったことを語りたい気分だった。 「今日は暇か」 「はい」 「呑みに行くか」 暇か、と問われ、はい、と言ったものの、呑みに行く、は想定していなかった。