覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

 

「リアルな殺し方がわかりましたっ」

 吊り橋の成果を聞きに電話してきた秋馬に、衣茉は得意満面そう言った。

「待て。
 お前、吊り橋になにしに行ったか覚えているか?」

「……ドキドキしに行ったんでしたね」

 哲のことまで、洗いざらい話したせいか、
「ずいぶん周りにイケメンがいたようだが」
と言われる。

 いや、二人しかいませんでしたよ。

「なにもときめかなかったのか」

 階段で落ちかけたとき、頭の中に、落ちる様子が文字でざらざらっと出てきて。

 これだっ、と思った瞬間、やったーっ、と一番ときめいたことは伏せておこう、なんとなく……、と衣茉は思っていた。

「ほら、俺を連れてかないから、ときめかないだろ」