覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

 


「そういえば、俺が自然薯をたくさんすりおろすの大変でしょうって言ったとき。

 チヨさん、微笑んだだけで、自分ですったとは言わなかったな」

 帰りのタクシーの中で八尋は呟く。

「あの人のよさそうな微笑みは罠です。
 あの人はほんとうのタヌキです」
と孫自ら主張する。

「じゃあ、タヌキクォーターのお前も、その人のよさそうなその微笑みは罠か。

 いや、人には微笑んでるが。
 俺の前では、素っ頓狂な顔しかしてないな」

 八尋たちはタヌキの……

 チヨの勧めにより、タクシーでさっき降りたのとは反対側の麓にあるバス停に向かっていた。

 そこから、バスで駅まで行くようだ。

 車だと街まで近いが、公共交通機関を使おうとすると、乗り換えも多く大変なようだった。