覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

 衣茉は立ち上がり、八尋を奥へと導く。

 広い屋敷の中をどんどん奥へ奥へと。

 田舎の屋敷は暗く。

 頭の中が衣茉が言う通りの怖い日本昔ばなしになりかかったとき、
「ここが台所です」
と衣茉が木の扉を指差した。

「座敷とこんなに離れてちゃ不便だろう」

「いえ、離れてないと駄目なんです」

 なにやら機械の音が……、
と八尋が思ったとき、衣茉が戸を開けた。