哲は子どもを風呂に入れると帰って行き、チヨは自然薯の味噌汁や手作り豆腐、山菜の炊き込みご飯などを振る舞ってくれた。
いろりにかかった使い込まれた鉄の鍋から、木のお玉ですくった味噌汁。
微笑んで差し出してくれるチヨさん。
すり鉢ごと出された強い粘り気のある自然薯を食べながら、
「これ、お客さんが多いときには、たくさんすりおろされるんでしょう?
大変ですね」
と声をかけると、チヨさんは、にこりと微笑む。
ほっこりした空間だ。
「お茶のおかわり、お持ちしましょう」
とチヨが奥に引き上げたあとで、八尋は言った。
「なにかこう、日本昔ばなしの世界に迷いこんだようでホッとするな」
「なんで日本昔ばなしでホッとするんですか」
あれ、ロクなこと起こりませんよ、と衣茉は言う。



