覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

 


 夕暮れどき。

 バスを降りて、衣茉とともに、田んぼに向かい歩いた。

 なるほど。

 用水路に細い板が一枚渡してある。

「グラグラするなっ」

「これが一番怖いですねっ」
と二人で順番に渡ってみた。

 だが、八尋はふと気づいて言う。

「これ、もしかして、渡らなくても、(また)げないか?」

 八尋は、ひょい、とあぜ道からあぜ道へと飛んだ。

「それは課長の脚が長いからですよ~」
と衣茉は笑っている。

「いや、お前も飛べると思うぞ。
 飛んでみろ」

 いや~、と言いながら、衣茉は、ひょいと跨ぐようにして、さっきまでいたあぜ道へと飛んだ。

「はっ。
 飛べてしまいましたっ」
と言って、衣茉はその場に座り込む。