覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)

 吊り橋の上にいるわけでもないのにっ。

 さっき、怒涛の騒ぎの中で、こいつを抱きしめたときより遥かにドキドキしているっ。

『課長といると、なんか安心しちゃって。
 どんな危険な場所に行っても、ドキドキしないみたいなんです』
という衣茉の言葉がずっと頭を回っていた。

「もう帰らなきゃですよね。
 あ、あんなところにバス停。

 どんなタヌキが乗るんでしょうね」
としょんぼりしたまま衣茉は呟き、歩き出す。

 だが、バス停の時刻表を見た衣茉が叫んだ。

「あれっ?
 浦上(うらがみ)行きって。

 浦上、おばあちゃんのところです」

「え?」