「で?
恋のドキドキはわかったか?」
「人様にご迷惑をおかけしてはいけないと焦るハラハラはわかったんですけどね……」
「後半、結構スムーズに歩いてたな」
「うーん。
慣れてきたからでしょうかね?」
と衣茉は首をかしげる。
実は、八尋が背負ってやろうかと言ってきた辺りから落ち着いてきたのだ。
八尋のがっしりとした肩、広い背中を想像しながら。
なにかあったら、課長が助けてくれるのか、と思うと安心できた。
「……困りましたね。
課長といると、ドキドキしません」
今渡ってきた橋を見ながらそう呟いて、八尋に、なにっ? と振り返られる。



