クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

「……そんなところがあるから、ですよ。」

 想空君には困ったように笑われてしまったけど、私はそれでいい。

 お人好しなのは、否定できないけど……あはは。

「……でも、これは許してください。」

「へっ? ……っ。」

 一瞬、驚いてしまった。

 想空君は可愛い感じの男の子。

 だけど……さっきの、獲物を見つけた狼みたいな瞳をもう一度光らせる。

 じっと見つめられて、どうしたらいいかと慌ててしまう。

 ……その時、私の耳に聞きなれた声が聞こえてきた。

「うらら、帰るぞ……――っ!」

 後ろ扉からりおくんの声が、強張ったように聞こえた。

 でも私はとりあえず想空君と距離を取りたくて、急いで椅子から立ち上がった。

 そして、早歩きでりおくんの元に向かう。

 ……瞬間、ぐいっと腕を引かれた。

「りお、くんっ……?」

 りおくんに抱きしめられていると気付いたのは、その数秒後。

 ふわっと包まれるように強く抱きしめられて、反射的にドキッとしてしまう。

 ……え?

 けど私はそんな自分の感情に、戸惑ってしまった。