クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

「先輩、僕の気持ち嘘だと思ってるでしょ?」

「っ……そあ、くっ……」

「僕は本気ですよ。」

 想空君は私のほうに来て、ぎゅっと手を握ってくる。

 椅子に押さえつけられて、身動きが取れない。

 途端に私の体は硬直してしまい、ぎゅっと目を瞑った。

 こわ、いっ……。

「先輩、目を開けてください。」

 そう言ってくる想空君が、今は怖い。

 想空君はこんな事、しない人だって思ってたのにっ……。

「この機会を逃すわけにはいかないんです。」

 想空君はそんな事を言っているけど、私の頭は処理しきれない。

 怖くて声も出せなくて、どうしようもない。

「想空君、やめて……っ。」

 でも勇気を振り絞って、か細いけどはっきりした声で言う。

 これで、やめてくれたらっ……。

 精一杯気持ちが伝わるように拒否すると、想空君は私の手を解放してくれた。

「っ……ごめんなさい、先輩。」

 そして私の目の前で、深く頭を下げる想空君。

「先輩が男苦手なの知ってるのに、あんな強引な手を使ってしまって……。」