クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 直感でそう思って、椅子を後ろに引く。

 でもそれは意味をなさず、想空君の手が伸びてきた。

「想空、くんっ……?」

「先輩は鈍すぎです。自分が男性恐怖症なのに、こんなやすやすと心を許して。」

「っ!」

 想空君にふわっと頬を撫でられ、恐怖心が芽生える。

 ダメだ……っ、怖いっ……。

 想空君がどうしてこんな事をしたのかは分からないけど、とてもじゃないけどここにはいられない。

 だけどこういう時に限って、体は言う事を聞いてくれない。

 そして恐怖が私に生まれた直後、想空君はふっと口角を上げた。

「昨日の今日で言うのもおかしいんですが……僕、うらら先輩のこと好きなんですよ。」

 ……えっ?

 想空君が私を、好き……?

「それはお友達として、って事……」

「なわけないじゃないですか。恋愛感情ですよ、恋愛感情。僕はずっと、うらら先輩のことが好きです。」

 う、嘘でしょうっ……?

 そんな事、ないはずだもんっ……。

 きっと想空君は私を先輩として慕ってくれていて、だから勘違いして……。