想空君に教室まで送ってもらって、今は教室でりおくんを待っているところ。

 てっきり私は、想空君は私を送ったら帰るのかと思ってたけど。

「先輩と仲良くなりたいので。」

「そ、そうなの……?」

 そうではなくて、りおくんが来るまで一緒に待ってくれるらしい。

 そして想空君からそんな謎な事を言われて、私は思わず首を傾げた。

「はい、先輩とせっかく友達になれたんです。仲良くなりたいですよ、僕は。」

 返された言葉を私は素直に受け取れず、うーんと唸る。

 私なんかと仲良くなっても、想空君には何にもないのに。

 そう考えるけど、私もせっかくだからもう少しだけお話したかった。

 こうしてお話していると、恐怖症が薄れていく気がしたから。

 実際、今は昨日よりも震えが少ないし目立たない。

 この調子で、これからも頑張ろう……!

 ぐっと意気込んで、一人拳を固める。

 その時に想空君がふと、こんな質問を投げてきた。

「……先輩は男性恐怖症なんですよね?」

「う、うん。そうだけど……」