クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

「もうこんな時間、だったんだ……。」

 時計はもうすぐ下校時間前を指していて、想空君に教える。

「想空君、もう少しで下校時間になっちゃうんだけど……」

「えっ、そうなんですかっ!? じゃあ、今日はもう終わります。あとは明日早く来れば終わるので。」

 私にそう言った想空君は、資料をひとまとめにして机の隅に置いた。

 そして、私のほうを振り返って優しく微笑んでくれる。

「先輩、昇降口まで送るので一緒に行きませんか?」

 想空君はきっと、私のことを考えてこう言ってくれている。

 でも私は、首を左右に振った。

「ううん、幼なじみが教室まで迎えに来てくれるから大丈夫だよっ。」

「……それじゃあ、教室まで送ります。」

「そ、想空君、流石にそこまでは……」

「先輩が誰かに絡まれたらどうするんですか? こういう時は頼ってください。」

 うっ……否定できないのが、ちょっと悔しい……。

 想空君もりおくんと似たような事言うんだなぁ……男の人って、思考回路がみんな一緒なのかもしれない。