クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 私よりも志珠ちゃんのほうが得意なんだけどなぁ……。

 なんて言えずに、私は職員室から出ようとする。

 先生に背を向け、「失礼します。」と言おうとした時だった。

「なぁ南持、ちょっと頼まれてくれないか?」

「え?」

 引き留められて、体を先生が居る方向へと戻す。

 それと同時に先生は、大量の資料を叩いてこう言ってきた。

「この資料、ここまでを生徒会準備室に持ってってくれないか? 先生、ちょっと手が離せなくてな……。」

 困ったような声色で、私にそんな頼み事をする先生。

 そういえば先生って、生徒会担当でもあったんだっけ……。

 先生も大変だ……と思いつつ、それくらいならと了承する。

「分かりました。どのくらい持っていけばいいんですか?」

「ありがとな南持。……えっとな、ここまでいけるか?」

「はいっ。」

 先生から資料を受け取り、今度こそ職員室から出る。

 あんまり量はないけど、難しそうな資料だ……。

 私は生徒会に関わった事なんてないから、こんな事をしてもいいのかと心配してしまう。