クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 顔のところどころには擦ったような傷跡があるし、この服の汚れ具合から見るに……。

「大貴君……もしかして、こけた?」

「流石うらら! まぁ、大体はそうなんだけどさ……聞いてくれよ、俺の不幸を。」

「う、うん……。」

 いつもよりも神妙な面持ちの大貴君に、頷いて返す。

 何だろう……ものすごい事を言われそうで、ちょっと怖い。

 それでも隣に志珠ちゃんもいるから、大貴君の言葉を待った。

 ……そして、こんな言葉が聞こえてくる。

「今日登校してたら、まず石に躓いてこけて、次にそのこけた反動でスクールバッグを放り投げ、そして極めつけには自転車と接触しかけたんだ! だから今日はボロボロなんだよ……。」

「うわぁ……ヤバ。」

 志珠ちゃんは何とも言えないような表情で、大貴君を見ている。

 それは私も同意見で、どうフォローすればいいか分からない。

 やっぱり大貴君はドジって言葉で片付けちゃダメな気がするっ……。

 ドジと言うか、もう不幸体質だよそれ……。

「まぁドンマイ。嫌な事があればいい事もあるから、そう落ち込むな。」