クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 そう言って「お願いっ!」と言ってきたのは、私の大親友の新納志珠(にいろしず)ちゃん。

 今日も左サイドテールを揺らし、元気な声で挨拶を返してくれた。

 ……でも私は、今の状況に頭がついていかない。

「志珠ちゃん……これって、どういう状況……?」

 私の目の前には、花瓶やら教室常備の教材やら、チョークやらが散らばっている。

 ……まさか、これって。

「マジでみんな手伝わせて悪い! 俺もこうなるとは思ってなかったんだ!」

「「「こっちもこうなるとは思ってねぇよ!!!」」」

 一人の男子の嘆きの声に、クラスの男子がほぼ同じ反応をする。

 や、やっぱり……。

「また、大貴君がドジしちゃったの?」

「……そうなのよ。教室に入って来たと思ったらまず大貴の勢いで花瓶が倒れるわ、地響きで教材が崩れるわ……。」

 うわぁ……思ってたよりも悲惨な事になっているのかもしれない……。

「挙句の果てには常備のチョークも落ちてくるわ……大貴のドジさ、というか超能力には呆れるわ。」

 た、確かにそうなるかもしれないっ……。