クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 多分、昨日うららを抱きしめたからだ。

 本当はあの温もりを、ずっと離したくないが……そうもいかない。

 今日も面倒な学校の準備をしてから、家を出る。

 俺の両親は共働きで、家に帰ってくるのはいつも夜遅く。

 休みは定期的に取っているらしいが、いつ体を壊すか分からない状態だ。

 ……まぁ、心配ではある。

 両親の事だから、きっと大丈夫だろうとは思うけど。

 ふわ……と一つあくびをして、ガチャっと玄関を開ける。

 そしていつものように、うららの家の近くでうららを待っていた。

 うららは朝弱いから、起きてくるのは遅い。

 それでも他の奴よりは早いから、遅刻はした事ない。

「あっ、りおくんおはようっ!」

 その時、勢いよく扉が開いた音が聞こえる。

 同時に届いたいつもの可愛らしい声に、俺は幸せに浸りながら返した。

「おはよ。相変わらず眠たそうだな? 昨日は眠れたか?」

「うんっ! そうだ、その事なんだけどねっ……多分、りおくんが昨日ぎゅーってしてくれたからよく寝れた気がするんだ!」