咄嗟に口から出た言葉は、よくあるごまかしの言葉。

 誰でも思いつくような、その場凌ぎのもの。

 嘘ではないが、本音でもない。

 言うなれば……嘘半分、本音半分だ。

 落ち着くのは確かにある。幼馴染だから、うららの隣が一番安心できる。

 ……だけれど、それだけじゃ足りない。

 もっと触れたい……だなんて、俺は欲深い事を思ってしまっているから。

 うららはこうやって、恋愛に超がつくほどの鈍感。いや、普段の生活の中でも鈍いところはあるが。

 それに、うららは男が苦手だ。

 いつも「りおくんは大丈夫!」と言ってくれるが、根拠なんてない。

 もちろん、うららの言う事が嘘だとは思えない。

 ……それでも、うららを傷つける事だけはしたくなかった。

 いくら俺が大丈夫だからといって、調子に乗って迫ってしまえば嫌われるのは分かりきっている。

 最悪、俺も苦手に分類されるかもしれない。

 だからこそ、今はゆっくり好きになってもらおうと考えている。

 急ぐつもりはない。中学生で交際するのも、本当は早いと思ってはいた。