中学二年は、恋に現を抜かす年。

 いや……恋愛事はどの年になっても、話題にはなるか。

 だがその中でも中学二年という学年は、異性を互いに意識するような年齢。

 ……けど俺はずっと、恋い焦がれていた。

「りおくん、私抱きしめてても良い事なんてないよ?」

 ――幼馴染の、うららに。

 俺はうららを腕の中に収めたまま、少し考える。

 こんな状態になったのは、元はと言えば俺がうららを引き寄せて強引に抱きしめたから。

 うららが俺の役に立ちたいと言ってくれたから、俺は遠慮なくそうさせてもらった。

 理由はもちろん……好きな女を抱きしめたい為。

 好きな女に近付きたい、触れたいって思うのは男の性だ。どうにかできるもんじゃない。

 ……幼馴染という、関係ではあるが。

 きょとんとしているうららは、何も気付いていない。

「うららは何つーか……落ち着くんだよ。大方、生まれた時から一緒に居るからそのせいだと思うんだけどな。こうしときゃ、気も紛れるしさ。」

 ……俺がどれだけ、うららに惚れ込んでるか。