クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

「そういう、わけじゃ……。」

 言いたくないわけじゃない。言わなきゃ、とは思ってる……けど。

 ――口に出すのが、怖かった。

 さっきの光景が思い出される気がして、躊躇ってしまうんだ。

「うらら。」

 ずっと視線を下げていた私に、りおくんは優しく名前を呼んでくる。

 そして……その声のまま、苦痛とも取れる声が届いた。

「俺はそんなに……頼りないか?」

 ……そんな聞き方、ずるい。

 そう言われちゃ、答えようって気になっちゃうよ。

 頼りないわけ、ないから。

「呆れたりしない? 馬鹿って言わない?」

「しないしそんな事言わない。ゆっくりでいいから、うららの気が楽になるのなら教えてくれ。」

「……うん。」

 りおくんは、どこまでも優しい。

 私に気を遣わせないような言い回しで、優しく訴えかけてくる。

 だからこそ……こんなにあっさりと、言えてしまう。

「最初は、階段から落ちてきたその人を助けようと思ってたの。だけどぶつかったわけじゃなくて……落ちてきてそのまま、抱きしめられちゃったの……。」