クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 するとりおくんが、いきなり私の頬をむっと手で押さえてきた。

「そんな顔してもダメだっつーの、ほら行くぞ。」

「りおくんの意地悪!」

「はいはい、俺は意地悪ですよ。」

「開き直らないで!」

 この掴みどころがない感じがあるところも、りおくんの性格で。

 そんなりおくんだから、関わりやすいとも思っていて。

 ……りおくんはいつだって、無気力でクールなんだ。



 学校は私とりおくんの家からそこまで離れていない場所に位置する。

 普通の公立中学で、生徒数もそれなり。

 何の特徴もない……って言ったらダメだけど、いわゆる普通の学校だ。

 昇降口で靴を履き替ようと、うーんと手を伸ばす。

「んーっ……。」

 今日もやっぱり届かない、かぁ……。

 私の靴が置いてある場所は私よりも背が高いところにあって、低身長な私は手を伸ばしても届きそうにない。

「届かないのに何やってんだよ……ほら。」

「ううっ……今日は届くかもって思ったの……。いつもありがとう、りおくんっ。」

「別に。」