クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 私の目の前には、スクールバッグを肩にかけて制服を少し着崩している男の子がいる。

 直後に、やっぱり眠たかったのか軽いあくびをした彼。

「うらら、学校行くぞ。」

「あっ……! りおくんっ、置いてかないでっ!」

 龍己凛遠(たつみりおん)。それが彼の名前。

 私は昔から彼を“りおくん”という愛称で呼んでいて、ずっと一緒に居る。

 ふふっ、りおくん眠たそう……。

 私も朝は弱いほうだけど、りおくんも弱いはずだ。

 もう一度、ふわぁ……とあくびをして、気を取り直した様子に何度か目を瞬かせる。

 そんなりおくんを見て、私はまた笑みが零れてしまった。

「りおくん、眠たいの?」

「まぁ、昨日少し徹夜したからな……って、何で笑ってるんだよ。」

「へ? ふふっ……だって、りおくんが可愛く見えたんだもんっ。いつもかっこいいのに、やっぱり朝弱いのだけは治ってないんだねっ。」

「それはお互い様だろ。俺は夜型だから、眠たくなりやすいしな。」

 むぅ……りおくん、なんだか私をからかってる?

 心なしかそんな感じがして、ぷくーっと頬を膨らませてみる。