クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 と思ったらその声の主のほうに引き寄せられ、ふわりと抱き留められる。

 りおくん、だっ……!

「おい何だよお前! せっかく良いところだったのに邪魔しやがって……!」

「無理やり連絡先聞くのが良いところなんですか? こいつ、嫌がってましたよね?」

「……それでも、お前が邪魔したのは変わらねぇじゃねぇか!」

 りおくんの言葉に一瞬詰まったけど、すぐに反論してきた男の人。

 でもさっきより怯えているように見えるのは……気のせい?

 りおくんに抱きしめられながらそんな思いを抱いていると、直後その男の人の言葉を聞いたりおくんの腕に力がこもった。

 ……そして、さっきよりも低い声が廊下中に響き渡る。

「……先輩なら後輩の言った事さえ理解できないのか? なんなら、無能なお前らに直々に教え込んでやろうか?」

「「「ひっ……!!!」」」

 私に絡んできた男の人の声が見事に重なり、急いで向こうに行ってしまった彼ら。

「お、覚えてろよ……!」

 よく聞くような捨て台詞を残し、姿が見えなくなる。