クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

「俺こんな近くで見たの初めてなんだけど……! やっばこれ……。」

「南持ちゃん、連絡先教えてよ。」

 れ、連絡先……?

「む、無理ですっ……!」

 そんなの、絶対できない。

 第一、私は男の人が苦手。トラウマがあるから、余計に。

 りおくんと大貴君は友達だから大丈夫なんだけど、知らない人は絶対に無理だ。

 ふるふると首を横に振って否定し、一歩後ずさる。

「ねぇ、逃げないでよ。」

「……!」

 声にならない悲鳴が、口から洩れる。

 逃げようと思った瞬間に腕を掴まれ、一気に硬直する。

 や、やっぱり怖い……っ!

『待ってってうらら! 逃げんなよ!』

『やっ……来ないで!』

 昔の記憶が、フラッシュバックする。

 そのせいで余計に怖くなってしまい、じわっと涙が滲みかけた。

 こわ、い……っ。誰か、来て……。

 りお、くんっ……!

「――あの、こいつの腕離してもらえます?」

 ダメだと思い、ぎゅっと目を瞑ってしまっと同時に。

 至近距離からそんな低い声が聞こえてきて、私の腕が一気に軽くなった。