クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

「うらら、おはよう。凄く眠たそうな顔してるけど、ちゃんと寝れたの?」

「まぁまぁかなぁ……。」

 あははと困ったように笑うお母さんに、またあくびをしながら答える。

 多分寝れたとは思うけど、本当のところは分からない。

 昨日は早く寝たと思うんだけどなぁ……。

 心の隅で、どこか他人事のように思う。

 その直後に私もお母さんと同じように苦笑いを零し、とりあえず朝ご飯を済ませる事にした。



「行ってきまーす!」

「ふふ、気を付けて行ってくるのよ?」

「分かってるよ!」

 お母さん、心配性だなぁ……そんなに心配しなくても、大丈夫なのに。

 ぷくーっと膨れたい気持ちを抑えながら、ローファーを履いて玄関の扉を開ける。

 それと同時に、いつもと同じ低い声が目の前から聞こえてきた。

「はよ、今日は早かったな。」

「おはようっ、りおくんっ! えへへっ、今日は少しだけ早く起きれたんだ!」

「そうなのか。ま、それでも朝は弱いんだろ?」

「……うっ、言い返せない。」

 落ち着いていて、どこか眠たそうな声。