クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 その瞬間、りおくんの香りがふわっと掠める。

 私はりおくんの匂いが好き。なんてったって、落ち着くから。

 ……って、これじゃあ私が変な人って誤解されちゃうかもしれない。

 ふるふると首を左右に振り、とりあえず荷物を置かせてもらう。

 ミニテーブルの前に座り、りおくんが来るまで部屋をぐるっと見回していた。

 でも男の子って感じがして、やっぱりちょっと落ち着かないな……。

 家具の位置は変わっていないと言えど、小物の色合いが変わっていたりしている。

 ……あ、あれって。

 ふと、ある物が目に留まる。

 これ……私が去年りおくんの誕生日にあげた、黒うさぎのぬいぐるみ……。

 りおくんが珍しく気にいったぬいぐるみだったから、内緒で買ったもの。

 ベッドサイドテーブルに置かれていて、頬が綻んだ。

 大切にしてくれてるんだ、これ……。

 あげた時もとても喜んでくれたし、相当欲しかったのかな……なんて。

「待たせたな。」

「ううん、全然! ありがとうりおくんっ。」

「ん。」

 ジュースが入っているマグカップと少しのお菓子を持ってきてくれ、笑顔でお礼を言う。