クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 教科書も持って帰るけど、それで終われるかなぁ……。

 うーんと考えながら、私はりおくんの元へと向かった。

「うらら、何でそんな浮かない顔してんだ。」

「……だって今日の宿題、終わるか分からないんだもん。」

 むーっと膨れてそう言うと、りおくんは何が面白かったのかくすっと笑って。

「なら俺が教えようか。」

「いいのっ!?」

「あぁ。うららだから、いいんだよ。」

 ……私“だから”、かぁ。

 こんな些細な言葉だけで浮かれる私は、つくづくりおくんが好きなんだと身に染みて思う。

「そろそろ帰るぞ。」

「う、うんっ!」

 りおくんのそんな言葉ではっと我に返り、急いで着いていく。

 この時間は前まで、幼馴染と一緒に帰る楽しい時間だった。

 でも今は、好きな人と一緒に帰るドキドキする時間。

 幼馴染だから一緒に帰る事は慣れてるはずなのに、好きだと意識した瞬間緊張してしまう。

 そんな自分に一喜一憂しながらも、私は頬が緩むのを抑えられなかった。

「うらら先輩。」