クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 志珠ちゃん、あんなに力強かったっけ……?

 と、おぼろげな記憶を掘り返そうとする。

 でもそれは、とても驚いて緊迫感溢れる声によって遮られた。

「ちょ、お前ら押すなっ……って、うわぁっ!?」

 ――バサーッ!

 漫画でよく聞くような音が、教室内に響き渡る。

 反射的に目を瞑ってしまい、何が起きたのかと焦ってしまう。

 す、すごい音したけど……一体、何が……。

「……と、大貴君っ!?」

 恐る恐る目を開けた時、私はもう見慣れてしまった……けど、とんでもない光景を見てしまった。

 大貴君が……教材に埋もれている、光景を。

 教材とは、これから私たちが使うワークの事。

 そのワークが移動式のテーブルに置いてあったはずだけど、今は下に散らばっている。

 さっきの大貴君の声からして、誰かに押されちゃったんだろうけど……こんな見事に埋もれるとは。

 大貴君を囲むように教材が落ちていて、まるで何かの儀式みたい。

「はぁ……。」

 そんな大貴君の光景を、志珠ちゃんは心底面倒そうな表情で見ていた。