クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 本気で願うほど、持久走は嫌い。

 そんな私の心情に気付いてくれたのか、私の手を引いている志珠ちゃんがこう言ってくれた。

「あたしも一緒に走ってあげるから、大人しく行くよ!」

「……絶対だよ?」

「うん、分かってるって。」

 普通の人は、大体最後の辺りで裏切るけど。

 志珠ちゃんはそんな事しない人だって分かってるから、これ以上駄々をこねるわけには行かなかった。

 ……多分。

 そろそろ始まる、その瞬間。

「頑張れうらら。」

 口パクでそう言ってくれたらしいりおくんと、パチッと目が合う。

 よく見てみれば小さくグッジョブもしてくれていて、私も同じものを返した。

 持久走終われば次はお昼休憩だし、頑張ろう……。

 後でりおくんのとこ行こうっ。

 りおくんに背中を押され、私は苦手なりに頑張って走ろうって思えた。