クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

「ん? ……あぁ、俺も帰ろうと思ってな。」

 え……?

「でも、部活は……」

「別に今日くらい休んだって、誰も何も言わねーよ。それに、うららのほうが大事だから。」

「っ……!」

 大事。きっとその言葉に、深い意味はないはずなのに。

「顔、真っ赤だな。」

「……ううっ、言わないで……。」

 私は分かりやすく、顔を赤くしてしまった。

 そんな私にくすっと微笑んでから、りおくんは私の手を握って立たせてくれた。

「んじゃ、帰るぞ。今日はもう、すぐ寝る事。分かったな?」

「そ、それくらいは分かってるよっ!」

 私、子供じゃないんだから流石にそれは分かるよっ……!

 だけど熱のせいなのか、それ以上は反論せず大人しくりおくんと一緒に保健室を後にした。



 ただいま、といつもより小さな声で言いながら玄関を開ける。

 この時間はお父さんもお母さんもお仕事だから、家には誰も居ない。

 がらっとしている家に入って、自分の部屋へと向かう。

 りおくんも着いてきてくれて、私が着替えるまでは部屋の外で待っててくれた。