クールな幼馴染の、甘い求愛方法。

 神は二物を与えないっていうけど、りおくんには二物も三物もあげてると思う。

 頭良いし運動神経も良くて、気遣いもできて優しくて……。

 でも、多分りおくんは才能だけじゃない。

 いろんな事に努力して、頑張って今がある。

 だから無神経に「羨ましい」なんて、あんまり言えない。

 ……尊敬のほうが、合ってる気がする。

 それでも、全部かっこいいのはすごい事だと思うけどっ……!

「凛遠あそこから入れんのすげーな! 凛遠のおかげで勝てたわ!」

「うるせぇ大貴。」

「相変わらずつめてーなー。」

「お前の相手をする時はこれぐらいで良いんだよ。」

 遠くから小さな声で聞こえる会話に、ふふっと笑みを零す。

 りおくんは大貴君のこと、冷たく扱ってるけどとても仲良いんだよね。

 微笑ましい、と思いにふける。

「うらら、そろそろ行かないと!」

「行きたくない……。」

「そんな事言わないの! ほら行くよ!」

 若干強引に志珠ちゃんに引っ張られながら、スタートラインまで向かう。

 嫌だぁ……持久走とかなくなっちゃえばいいのにっ……!